肝臓の働きとオルニチン回路



肝臓は体の中で化学工場としての役割を果たしていると先に述べましたが、それと同時に備蓄庫としての役割も果たしています。

化学工場としては、食事によって摂取された栄養分を人体で利用可能な形に作り変えたり、リサイクルしたり、有害物質を解毒したりということが行われています。

備蓄庫としては、ブドウ糖などの栄養を必要に応じて常に供給できるようにその蓄えがなされています。そうした働きの中には血液や血管の性状を良好に保つための働きも含まれています。


〈肝臓の解毒機能とは〉

私たちは日常的に有毒物を体に取り込んでいたりします。例えばジャガイモのソラニンのように食品自体に本来含まれている毒素もありますし、現代のように加工食品が多用される世の中では防腐剤や安定剤などの食品添加物としても摂取されます。さらには医薬品として、あるいは残留農薬なども知らず知らずのうちに体内に取り込まれていますし、体の中で産生される毒素もあります。例えばタンパク質が体内で利用(代謝)される際に生じるアンモニアがそうですし、腸内細菌からも微量な毒素が排出されていたりします。

けれどもそうした毒物の影響を私たちが意識することなく過ごしていられるというのはどういうことなのでしょう?
そこには身体に備わっている解毒ろ過関門といった有害物質に対する防御機能の働きが作用しています。もちろん一時に多量な有毒物が摂取された場合には処理が追い付かずに中毒を起こしてしまうのですが、そうした中であたかも化学工場のように毒素を化合や分解などの処理で作り変え、無毒化してしまうのが肝臓の解毒機能なのです。




〈アンモニアを解毒するオルニチン回路〉

肝臓の解毒機能の一例としてオルニチンサイクルがあります。オルニチンサイクルは体内で生じた危険なアンモニアを安全な尿素に変換して無毒化する過程で、オルニチンが循環的に関与しています。アンモニアは親水性が強く脳‐血管の関門も通過してしまうので、血液中の濃度が高くなるとアンモニア脳症を発症し、意識障害から程度によっては死に至ります。
実は私の父が長年の飲酒に起因する肝硬変からアンモニア脳症をも患い、アミノ酸の栄養点滴を受けながら命を長らえていますが、当初は3〜4日毎に通院で受けていた点滴が、現在では訪問診療で一日おきに施行して頂かないと意識障害を生じるような状態です。徐々に歩行も出来なくなり、認知能力も家族を識別できないほどに低下しています。


〈アンモニアに阻害される生体エネルギーの産生〉

アンモニアは生物が体内でエネルギーを産生するのに不可欠なクエン酸回路(※TCAサイクル)をも阻害します。生体を維持するためのエネルギーは物質が酸化還元する際に発するエネルギーがその源となっていますが、アンモニアはクエン酸回路と言われるそうした酸化還元の繰り返し(循環)を阻害します。したがってアンモニアを無毒化するオルニチン回路は、生物がその生存に不可欠なエネルギーを産生する仕組みをも助けています。

※TCAはトリカルボン酸の簡易表記。クエン酸はトリカルボン酸の一種であるので、クエン酸回路はトリカルボン酸回路とも呼ばれています。


さて、本項では肝臓の働きの中で特に解毒機能に注目して見てきましたが、タンパク質の代謝過程で生じる最も身近な毒素ともいえるアンモニアが、生体内においては侮れない毒性を発揮することを知ることができました。そしてアンモニアを解毒し、生命維持に必要なエネルギーの産生をも助けているオルニチン回路の働き。オルニチンといえば、私は現在もシジミのサプリメントの試用を続けていますが、体調の良くなる理由の一端がこの項に関する情報収集によって理解できた気がしました。

365日頑張っている肝臓に・・・


Wのオルニチン




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