12の血液凝固因子とビタミンK


先の記事では口の中の血豆が頻発する出血傾向について、血小板の減少が出血傾向の原因となることを説明させていただきました。それに関して少し掘り下げて調べてみたものが以下に示す「12の血液凝固因子」です。血液凝固は実質12の因子(※)によって説明されていますが、そのうちの9つが肝臓で産生されています。さらにその9つのうち4つの産生にビタミンKが関与しています。


※第T〜XIII因子までが知られていますが、第Y因子は欠番となっています。

「12の血液凝固因子」のいずれかが欠乏すれば出血傾向が生じるわけですが、凝固因子のほとんどが肝臓で産生されていることから、やはり肝臓の働きが出血傾向に深く関わっていることが改めて理解できました。そしてビタミンKが肝臓における複数の血液凝固因子の産生に不可欠な栄養素であることも確認できました。もしかすると私の出血傾向はビタミンKの不足によるものかもしれません。

ビタミンKには植物由来のフィロキノンと動物由来のメナキノン-4、納豆に含まれるメナキノン-7とがあり、栄養的に特に有意義なのがメナキノンで、さらにメナキノン-7は同量のメナキノン-4と比較して高い生理活性が認められています。細菌によって作られるメナキノンは私達の腸内細菌によっても産生されています。

ちなみにビタミンKが多く含まれる食品は(※以下、100g 当たりの含有量)

〈フィロキノン高含有〉

 大豆油       210 μg
 ほうれん草(生)  270 μg
 ブロッコリー(生) 160 μg
 シソ(生葉)    690 μg
 焼き海苔      430 μg
 わかめ(乾燥)   660 μg 

〈メナキノン-4 高含有〉

 卵黄         40 μg
 鶏むね肉(皮付き)  35 μg
 鶏むね肉(皮なし)  14 μg
 牛肩肉 (脂あり)  23 μg
 ナチュラルチーズ   15 μg
 有塩バター      17 μg

〈メナキノン-7 高含有〉

 納豆        600 μg
 ひき割り納豆    930 μg


ということで、ひき割り納豆がダントツの含有量で、しかも生理活性が高いとされるメナキノン-7を含有しています。なお、ビタミンKは脂溶性ビタミンであるので、油と一緒に摂取すると吸収が良いということです。そういえば娘が体に良いと言って納豆にキムチとエゴマ油を入れて食べていましたが、なるほど理に適った食べ方のようです。私も「ひき割り納豆」で真似てみることにします。



(※ ビタミンKには他にも骨を丈夫にする作用や、動脈硬化を予防する作用のあることが知られています。)

さて、ビタミンKについて少し掘り下げてみましたが、以上のような背景からビタミンKが欠乏する原因としては、例えば油脂分の消化吸収を助ける胆汁の分泌が不足したり、抗生物質の投与で腸内細菌が減少したり、幼児で腸内細菌叢の未発達な場合など、種々の要因に関連してビタミンK欠乏の起こり得ることが考えられます。

血栓性疾患のリスクを抱えている方が摂取を制限されるビタミンKですが、本来は健康の維持に必要不可欠な栄養素であるはずで、病気の予防としてその効用に浴することが出来ないということは、一方では身体に他の不具合を生じさせる要因にもなり得るわけです。そうした負の連鎖について考えると、本来的な健康がいかに有難いものであるかということに思いが至ります。失ってから後悔しないように不摂生を改めるべき時期が訪れているのかもしれません。


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